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汎用AIエージェント「Manus」 DeepSeekに続く中国発AIの衝撃

Manusは「ラッパー」

 Manusを開発したのは、中国の起業家Xiao Hong(肖紅)氏らが創業したAIスタートアップMonicaだ。Xiao氏は、武漢の華中科技大学を卒業した33歳。北京と武漢にオフィスを構え、従業員は数十人という。

 Xiao氏はシリアル起業家で、過去にはWeChatベースのアプリを開発して大手に売却した経験もある。Manusの前に、ブラウザー拡張機能とモバイルアプリとして利用できるAIアシスタント「Monica.ai」を立ち上げた。

 AIエージェントは昨年後半ごろから注目度が急上昇している技術で「自律性を持ち、特定の目標を達成するために自ら行動できるAIシステム」を言う。トップAI企業が開発に躍起となっているLLM(大規模言語モデル)とは異なり、通常はLLMを基盤にさまざまなコンポーネントを組み合わせたシステムになる。

 発表後、多くの開発者がManusの分析を行ったところ、Anthropicの「Claude 3.5 Sonnet」やAlibaba「Qwen」など外部の基盤モデルを利用していることが分かった。また昨年末にオープンソースで公開されたブラウザー操作ライブラリ「Browser Use」なども利用している。Venture BeatやAnalytics India Magazineなどが伝えている。

 Analytics India Magazineは、「(Manusは)Anthropic Claudeのラッパー(既存のコードやライブラリに統一的なインターフェイスを提供するプログラム)だ。それでも、尊敬に値する」と評価。GitGlance.co創設者のRichardson Dackam氏のコメント「Manusは単にモデルの上にAPIを乗せたのではない。他のAIが実行できないような方法で深い研究、深い思考、複数ステップのタスクを実行できる自律システムを構築している」を紹介している。

 一方で、批判的な見方もある。コーネル大ジョンソン経営大学院のレジデンス・データサイエンティストのLutz Finger氏は「ハイプだ」とする。同氏はForbesへの寄稿で、「意思決定ができない」「ワークフローに制限がある」などを根拠として挙げている。