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汎用AIエージェント「Manus」 DeepSeekに続く中国発AIの衝撃

 DeepSeekショックが冷めやらぬ中、最新のAIエージェントが中国から登場してハイテク業界に新たな衝撃を与えた。スタートアップのMonicaが開発した「Manus」は、「世界初の汎用AIエージェント」をうたっている。単にアイデアを生成するだけでなく、複雑なタスクを自律的に実行できるという。

ユーザーに代わって行動する「真に自律的なAIエージェント」

 「中国の第2のDeepSeekの瞬間が訪れた。Manusと呼ばれるAIエージェントが中国で急速に広がっている」と、AI情報ニュースレターThe Rundownの創設者Rowan Cheung氏はLinkedInで述べている。

 Manusの発表は3月5日、開発チームがXに投稿する形で行われた。その中に「ニューヨークの不動産から複数の条件に合致する物件をみつける」というデモ動画がある。検索情報を読み込んでまとめ、家賃条件でデータ処理するPythonプログラムを書き、全部の情報を合わせて結論を出すというものだ。最初の指示だけで自動的に行い、PCを止めてもクラウド上で実行が続く。

 Manusとはラテン語の「手」で、ユーザーに代わって行動する意味だという。「単なるチャットボットやワークフローではない。真に自律的なAIエージェントで、概念と実行の間のギャップを埋める」と共同創業者兼チーフサイエンティストのYichao "Peak" Ji氏はXの動画で説明している。

 Manusが公開する「GAIA」ベンチマーク(日常能力)テストによると、ManusはOpenAIの「o3」ベースの「Deep Research」エージェントを上回ったという。サービスは現在クローズドベータで、招待コードを受け取ったユーザーだけがデモ版を利用できるという段階だ。

 冒頭のCheung氏は自身のニュースレターにManusについて書いた後、招待コードを受け取って試してみた。自分の来歴を作成し、その情報をもとにWebサイトを実装するという作業を行わせ、「100%正確だ。情報は最新だ」と評価した。

 元Googleの社員でAI専門YouTuberであるBilawal Sidhu氏も驚きを隠さない。Sidhu氏は、Manusを「自律型AIエージェントに最も近いもの」と評し、「コンピューターを使用している誰かの肩越しに立って……最高レベルで何をすべきか尋ね、基本的にそれをあなたのためにやってくれる」と自身のYouTubeチャンネルで述べている。