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「選択肢とコスト」で勝負 AIのコモディティ化に向け足場を固めるAWS

「大胆なAIの野望と、慎重で素早い後追い」

 もうひとつ忘れてはならないのが、Amazonはインフラに強みを持つベンダーだという点だ。Trainium2/3、Project Rainierなどのハードウェア/インフラは、「NVIDIAへの依存度を下げることになる」とみられている(同時にAmazonはNVIDIAと協力して、Blackwellを採用したAIスパコンの「Project Ceiba」も進めている)。

 ニューヨーク大学・スターン経営学部のチーフAIアーキテクトで、AI Mindsetの創業者兼CEOを務めるConor Grennan氏は、Amazonが基盤モデルの開発を秘密裏に進めてきたことに驚いたが、長く続くという点ではチップの影響の方が大きいだろうとみている。Forbesの取材に答えた。

 「Trainium2チップは、現在のGPUベースのインスタンスよりも30~40%優れた価格性能を示しており、NVIDIAの優位性に対する挑戦となる。(イベントで)AppleとAnthropicの両社がTrainiumチップをAIの訓練に使用することを約束したが、これはAWSがAIインフラ分野で有力な選択肢となることを意味する」(Grennan氏)

 サンノゼ州立大学でエンジニアリング教授を務めるAhmed Banafa氏は、これらの動きから、生成AI時代のAWSの方向性を「エンドツーエンド」と見る。「AWSはクラウドプラットフォームであるだけでは満足できず、エンドツーエンドのAIの“パワーハウス”を目指している」

 先述のGrennan氏は、AWSが目指すものを「AIのワンストップショップ」と表現し、「競合他社に依存することなく、あらゆる分野で、自社でベストなものを開発・所有する完全なソリューションを構築している」と述べた。そしてAWSの動きを「大胆なAIの野望と、慎重で素早い後追いの組み合わせ」と表現している。

 年末になってもAI関連の動きは活発だ。OpenAIは「12 Days of OpenAI」として「Sora」のGAや「Canvas」を発表し、Googleも「Gemini 2.0」など最新の成果を公表している。Microsoftも軽量モデル「Phi-4」をリリースした。

 トップランナーたちは派手なパフォーマンスを見せているが、その一方で、ビジネスに長けたAmazonはその強みを生かしながら、着実に足場を固めているようだ。