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「選択肢とコスト」で勝負 AIのコモディティ化に向け足場を固めるAWS

「AIがコモディティになる」という賭け

 これまでAmazon/AWSの生成AI戦略は、どちらかというと受け身だった。3大クラウドの中では、OpenAIと提携したMicrosoftがリード。GoogleはDeepMindを軸にマルチモーダルモデルの「Gemini」を投入するなど、Microsoft-OpenAI連合の後を猛追している。

 一方のAmazonは2023年4月に「Amazon Titan」を発表したと思えば、同年秋にAIチャットボット「Claude」のAnthropicに巨額出資をした(2024年に入って追加出資をしている)。こうした動きは、Amazonが自社で基盤モデルを持つことを重視してないのか、とも思わせるものだった。

 そうした中で披露したオリジナル基盤モデルNovaは何を意味するのだろう――。カギになりそうなのは、Jassy氏のNova発表時の言った「1つのツールが全てを支配することはない」という言葉だ。

 データベースなどでの経験を「教訓」としたJassy氏は、Novaだけでなく、Bedrockを通じてAnthropic、Llamaなどの基盤モデルをサポートするとした。また特化型の基盤モデルを集めたマーケットプレイスも発表した。外部パートナーに依存しない戦略を明確にしたものだ。

 そして「選択肢」と並ぶ重要なキーワードが「コスト」だ。Jassy氏は「組織・企業が生成AIアプリケーションをスケールするにあたって、コンピュートのコストが重要」と述べ、安価なモデルの必要性を主張した。Novaは、現行LLMよりも最大75%低価格に設定するという。

 Fortuneは「これ(Jassy氏の言葉)がAmazonがAIで進めるマスタープランの核心のようだ」と解説する。テックアナリストのBen Thompson氏の見解を紹介しながら、AWSはコンピューティングやデータベースで選択肢を提供するように、Bedrockを通じてAIモデルの選択肢を提供し、その中でNovaは安価な選択肢になるとする。「AmazonはAIがコモディティになることに賭けている」(Ben Thompson氏)というわけだ。