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混迷を増すIntel Gelsinger氏の突然のCEO退任

 Pat Gelsinger氏が突然、IntelのCEOを退任した。NVIDAやTSMCなどの好調の一方、Intelは変化の波に乗り遅れて苦境に陥っている。同社で30年以上のキャリアを持つGelsinger氏が建て直しのためにCEOとして戻ってきたが、その道半ばにしての辞任となる。

「辞任するか、解雇されるか」

 Intelの取締役会は12月2日、CEOのPat Gelsinger氏が退職し、取締役からも外れたと発表した。退職日は前日12月1日(日曜日)付という事後報告だ。後任のCEOは未定で、CFOのDavid Zinsner氏と製品部門のCEOとなるMichelle (MJ) Johnston Holthaus氏の2人が共同暫定CEOに任命された。これから委員会を設置して、CEOを探す予定だとしている。

 声明の中で、暫定取締役会会長のFrank Yeary氏は次のように述べている。

 「当社は大きな進展を遂げてきたが、まだ多くの課題が残されており、投資家の信頼回復に全力を尽くす」。また当面の急務として、製品ポートフォリオの簡略化と強化、製造およびファウンドリ能力の向上を挙げ、「よりスリムでシンプル、かつ機敏なIntelの創造に取り組む」としている。

 New York Timesによると、Gelsinger氏は週末に、「辞任するか、解雇されるか」の選択を迫られ、辞任を選択したという。Gelsinger氏は、2021年のCEO就任以来、約3年半にわたって同社の建て直しに奮闘してきた。かつてはCTOとして同社の全盛期を築き、「Intelの青に染まった」人物でもある。

 しかし、取締役会は、再建計画が十分な成果をあげられなかったため退任させざるを得ないと結論づけた、と匿名の関係者の話として伝えている。

 Gelsinger氏本人は声明の中で「Intelは私の職業人生の大半を占め、今日の日をほろ苦い思いでいる」と感慨を語り、「現在の市場力学に合わせてIntelを位置づけるため、厳しくも必要な決断を下してきた今年は、われわれ全てにとって挑戦的な1年だった」と振り返っている。