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混迷を増すIntel Gelsinger氏の突然のCEO退任
2024年12月9日 11:20
取締役会が再建計画の支持をやめた?
Gelsinger氏が進めてきた再建戦略は、技術的リーダーシップの回復、AI時代への対応、業績低迷の克服を目指すという多面展開の内容だ。
技術面では、製造プロセスの進化の加速(4年間で5つの新しいプロセスノードを導入)と、かつてIntelが波に乗り損ねたEUV(極端紫外線リソグラフィー)技術の採用を掲げ、AI市場への拡大では「Gaudi」シリーズを投入した。
そして、「IDM 2.0」戦略として、自社製品の製造と並行しながら、外部顧客向けの半導体製造を行うファウンドリ(受託生産)サービスを打ち出した。台湾のTSMCに集中している製造機能を米国に確立して、西側諸国の半導体サプライチェーンを再編するという国の支援を受けた目標もあった。
CEO就任から約1年半たった2022年10月のThe Vergeのインタビューで、Gelsinger氏は、これを「1年や1四半期の戦略ではなく、10年単位の戦略」と語っている。その一方で、多額の資金を必要とするため取締役会との合意を構築したと述べている。「費用のかかる旅だ。その旅を実行するために、数十億の資本を費やすつもりであることを理解してもらいたい」(Gelsinger氏)ということだった。
しかし今回、取締役会はGelsinger氏の計画をこれ以上支持できないと考えた。との見方でメディアは一致している。
「取締役会は、Gelsinger氏の高コストで野心的な計画が、Intelの業績回復に役立っていないと感じており、進展速度が十分でないと判断した」(Reuters)、「Gelsinger氏の計画への取締役会の信頼が失われたことで、同氏は退場を余儀なくされた」(Bloomberg)ということだ。