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Microsoftにも調査 ビッグテックの独禁法訴訟が全面展開

 Microsoftに対し、米連邦取引委員会(FTC)が独禁法(反トラスト法)で調査を開始したと報じられている。独禁法関連では8月、Google(Alphabet)の検索市場での独占を認める判決が出たところだ。Apple、Amazon、Metaもそれぞれ規制当局との間で独禁法訴訟を抱えており、Microsoftが訴えられると、GAFAM全てが対象となる。これをビッグテック時代の終焉の始まりとする見方もある。

(岡田 陽子=Infostand)

Microsoftの独禁法調査は、クラウド、セキュリティ、AIなど広範

 Microsoftに対する司法省の独禁調査については11月15日にFinancial Times(FT)が報じていた。それが、いよいよ動き出したようで、27日にメディアが一斉に開始を伝えた。同社は90年代に司法省から訴えられ、OSとブラウザーの分離で和解した歴史があり、実に四半世紀ぶりに俎上(そじょう)に上ることになる。

 FTなどメディアの報道によると、Microsoftは生産性ソフトウェアの市場力を乱用し、顧客がAzureから他の競合プラットフォームにデータを移行できないよう懲罰的なライセンス条件を課している疑いがあるという。

 Bloombergによると、司法省はMicrosoftが人気のある生産性ソフトとセキュリティソフトをクラウドサービスに抱き合わせていることに注目している。生産性ソフトでは「Teams」、セキュリティソフトでは認証/ログインのMicrosoft Entra ID(旧Azure Active Directory)などが挙がっているという。

 セキュリティソフトは今年初め、アップデートの失敗で世界中のWindowsシステムがクラッシュしたCrowdStrikeの大規模障害が影響した。「Microsoftの製品がいかに広範に使われているのか、それが世界経済に直接影響を与えることを示す例となった」(Bloomberg)という。

 FTCは、1年以上にわたってMicrosoftの競合やビジネスパートナーなどに非公式な聴き取りを実施し、情報開示を強制する要求を同社に送付したという。「クラウドコンピューティング、ソフトウェアライセンス、サイバーセキュリティ、AIなどあらゆる分野に踏み込むものとなる」と、Bloombergは消息筋の話として伝えている。

 Microsoft、FTCともメディアのコメント要請には応じていない。