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米海軍が乗組員にクラウドを提供 ネットワークは民間衛星コンステレーション

海軍内で“モグリ”のWi-Fiサービス事件

 興味深いことに、SEA2プロジェクトの必要性を海軍の幹部に痛感させたであろう事件が昨年3月に起こっていた。

 沿海域戦闘艦「Manchester」で、Starlinkを利用した“モグリ”のWi-Fiサービスが発覚したのだ。軍事コミュニティニュースのNavy Times が今年9月3日付で報じた。

 それによると、19歳の上級兵曹長が無許可でStarlinkのアンテナを設置し、艦内に秘密のネットワークを作って他の乗組員にWi-Fiを有料で提供していた。このサービスには15人以上の曹長が参加していた。上級兵曹長は今春の軍法会議で有罪判決を受け、降格されたという。

 z世代にインターネットなしの生活をしろというのは、もう無理なのかもしれない。

 ところで、SEA2にはもうひとつ奇妙な点がある。その発表は8月20日だが、9月初めまでに海軍のWebサイトからプレスリリースが削除されたのだ。

 英タブロイド紙のThe Sunは「謎の消滅」と伝えた。またWIREDがその理由を問い合わせたところ、「不正確なものを外し、確実に正しい情報を出すため」との回答があった。しかし、何が「不正確」だったのかは答えなかったという。

 WIREDはStarlinkの軍事利用について、関係者の間にいくつかの懸念があることを伝えている。過去に見つかったStarlinkの脆弱性の問題、そして、オーナーがElon Musk氏であることだ。

 ある国防総省高官は、「地政学的理解が不十分な民間人」が軍の衛星接続をコントロールすることに恐れを抱いているという。ロシア軍への反撃のため、Starlinkの接続を求めたウクライナ軍の頼みを、Musk氏は拒否したことがある。

 “お騒がせ”Musk氏の影響はこんな所にも及んでいる。