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宇宙の大規模データセンター EUが「実現可能」と結論

宇宙は最後のフロンティア

 課題は多くあるものの、可能性を感じるというのが宇宙データセンターの現状だ。

 ASCENDのWebサイトには、EUのプロジェクトらしいもうひとつの狙い、「主権クラウド」が記されている。「軌道上にあるデータセンターはデータ主権を保証し、データのプライバシーと保護の問題に対処し、GDPRのような欧州のデータ保護規制も順守できる」という。

 また、プロジェクトには欧州が米中の技術的優位に対して巻き返しを図ろうとの思いも強い。「ASCENDは、EUがAIエコシステム内で競争上の優位性を獲得しようとする1つの方法であり、この分野では、EUは現在、米国と中国に後れをとっている」とデンマーク・データセンターの戦略・運用責任者のMerima Dzanic氏はCNBCに述べている。

 ここ数年、宇宙はデータセンターの場所として脚光を浴びており、2023年に小型宇宙データセンターの運用計画を発表したOrbitsEdgeや、月面データセンターを計画しているLonestar Data Holdingsのようなスタートアップもいる。EUは、いち早く開発を進めることでリーダー的な立場を築きたいところだが、ライバルも多い。

 日本でも、NTTとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が宇宙データセンターの実現に向けた共同研究を開始することを発表している。

 データセンターの立地では、宇宙だけでなく水中も研究されているが、こちらも道は平坦ではない。2015年から海底データセンターの実証プロジェクト「Project Natick」を行ってきたMicrosoftが先月、プロジェクトを打ち切ったと報じられた。詳細は明らかになっていないが、やはり多くの難関があるということだろう。