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生成AIでデータセンターの需要急増 インフラ不足と電力問題

 生成AIの開発・利用には、大きな計算処理能力を持つデータセンターが必要となる。生成AIは高価なGPUの争奪戦を巻き起こしたが、世界中でデータセンターの建設ラッシュも招いている。土地、施設、そして電力の調達がAIビジネスで勝ち残るための必須条件だ。特に電力は各地で重大な問題として浮上している。

不足しているのはチップだけではない

 データセンター業界は空前のブームに沸いている。法人向け不動産サービスのCBREのレポートによると、北米のデータセンターの「在庫」は前年同期比で24.4%拡大したにもかかわらず、空き比率は過去最低レベルを記録した。

 欧州でもフランクフルト、ロンドン、アムステルダム、パリの主要4都市すべてでデータセンター市場は著しく成長。約20%拡大する一方で、合計の空き率は10.6%(前年同期比2ポイント減)と縮小している。

 世界の主要都市では、データセンターの供給量、実需、価格ともに大きく上昇している。しかし、空き率が減少していることから、関連事業者は新たな好立地を求めて動いている。

 大手投資会社Blackstoneが英国北部に欧州最大級のデータセンターキャンパスを建設する計画が4月に報じられた。95ヘクタール(約95万平米)の土地を買い取り、100億英ポンド(約2.5兆円)を投資するというものだ。

 この土地は発電所の跡地で、再生可能電力と電力インフラへのアクセスを備えているとFinacial Timesは解説する。リチウムイオン電池開発のスタートアップBritishvoltが所有していたが、同社が破綻して宙に浮いていたところへ、Blackstoneと傘下のデータセンター事業者QTSが名乗りを上げたのだ。

 これは一つの例にすぎない。チップブームの中心にいるNVIDIA創業者兼CEOのJensen Huang氏は、データセンターへの投資額は今後5年で倍増すると予想している。