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AIアプリケーション開発の新しい波 Difyが切り開くか「複合AIシステム」

 「Dify」というAIアプリケーション開発フレームワークが人気を集めている。ノーコードでプログラミング不要、操作の大半がドラッグ&ドロップで済むものだ。Difyは、コンポーネントを組み合わせて目的のAIアプリケーションを開発する「複合AIシステム」でもある。AIアプリケーションでは、これまでLLM自体の開発に焦点が行きがちだったが、複合AIシステムがその方向を大きく変えそうだ。

注目のAIアプリ開発プラットフォーム「Dify」

 Difyは、AIチャットボットやエージェント、AIを活用した処理プロセスなどをノーコードで開発できるLLM(大規模言語モデル)アプリ開発プラットフォームだ。開発したのは米デラウェア州ミドルタウンに本拠を置くLangGeniusという2023年創業のスタートアップで、メンバーは元中国Tencentのクラウドチームの開発者が中心という。

 Difyの公開は2023年3月で、最新バージョンは「0.6.12」。開発段階ながらAI界隈で評判となっている。日本でも5月ごろから、X、YouTube、Noteなどで関連情報が急増しており、簡単さで初心者開発者の人気も集めている。

 Difyの特徴は、機能のブロックをつなぐこと(本当にラインを引くだけ)で複雑なAI処理ができる点だ。入力、LLM、RAG(検索拡張生成)、分岐、繰り返しなどを部品として、パイプラインを構築し、ステップごとに確認しながら出力を得られる。複数のLLMに別のプロンプトを与えて、異なる役割を持たせることも可能だ。

 またDify自体は独自のLLMを持たず、GPTシリーズ、Gemini、Claude、Llamaなどさまざまな外部のLLMをAPIを介して利用。使用したトークン分の料金をそれぞれに支払う仕組みだ。

 複雑なLLMアプリケーションの開発には、「LangChain」がよく使われているが、コーディングは必須だ。Difyに似た製品としては、フランスの「Dust」などはあるが、こちらは「ローコード」の開発ツールでカスタマイズ性は高いものの初心者には手が出しにくい。

 これに対し、DifyはAIアプリケーション開発の敷居を下げることで広がっている。また、Apache 2.0ベースのオリジナル・オープンソースライセンスで提供されていることも支持を集める理由になっている。