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インフラサービス戦略でネットワークを中核に HPEのJuniper買収

Ciscoとの競合、そのポイントは

 HPEがネットワークに注力するのは、AIとクラウドなどの最新のトレンドにおいてネットワークの重要性が高まっているからだ。

 The Next Platformは次のように記す。「分散コンピューティングクラスタの予算に占めるネットワークの比率は、以前は10%以下だったが、最新のAIクラスタでは20%程度を占めている」。コンピュートとストレージの効果的な利用にあたってネットワークの重要性が増しており、遅延や帯域幅への注目が高まっている、というのだ。

 BloombergのインタビューでNeri氏は、ネットワークを中心にデータレイヤーがあり、「HPE GreenLake」ブランドのサービスを顧客が利用するというアーキテクチャを示した。

 そこで思い起こされるのが、Ciscoとの競合だ。ネットワーク機器最大手のCiscoのライバルJuniperを取得することで、HPEはCiscoと正面からぶつかるすることになる。

 そのCiscoは先述のように、Splunkを取得してセキュリティを強化する方向性を進めている。

 Forbesは、JuniperとHPEの合体により創出される価値として、(1)エンタープライズ・ブランチ、(2)データセンター、(3)クラウドとAI――の3分野を挙げる。そして、Ciscoとの競合では、(1)のエンタープライズ・ブランチがポイントになると予想する。「(JuniperのMistに競合する)『Meraki』の統合が進んでいない」分野だからだ。

 「無線LAN、SASE、エンタープライズ・ブランチなどが、HPEの販売チャネルで最も有望な戦略領域になる。Arubaが最も成功を収めている分野で、前年比50%近い成長を遂げている」

 HPEは2024年から2025年初頭のJuniper買収完了を見込む。クラウド時代にハードウェアから戦略変更を余儀なくされたHPEだが、Bloombergの取材に応えるNeri氏の表情からは自信が見えた。