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中国の参加が契機になるか 安全なAI目指す「ブレッチリー宣言」

制度面で先行する中国

 「2030年までに世界のAI産業でトップに立つ」という目標を掲げる中国は、AI産業の育成を強力に進めている。最近目覚ましいのが、規制・制度面の整備だ。

 規制当局である「国家インターネット情報弁公室」(国家互連網信息弁公室=CAC)は今年4月、生成AI規制の草案を公表し、7月13日に「生成型人工知能サービスの管理に関する暫定規則」(生成式人工智能服務管理暫定弁法)として決定、8月15日に施行した。

 8月31日には、これを受けてBaidu、顔画像認識技術のSenseTime、そしてスタートアップのBaichuan Intelligent Technology、Zhipu AI、MiniMaxの計5社がAIチャットサービスをリリース。スマートフォンアプリが一気に広まり、中国内でブームとなっている。

 また、10月には情報セキュリティの国家標準策定機関「全国情報安全標準化技術委員会」(TC260)が標準文書「生成式人工智能服務安全基本要求」を発表した。サービスプロバイダーに求められるセキュリティ要件を定めたものだ。

 米国のシンクタンクBrookings Institutionは、中国の規制の特徴として、「ライセンス制度」「サービスプロバイダーと研究開発の分離」「単一の規制当局」「プロバイダーの品質責任」の4つを挙げている。

 つまり、「AIサービスは国のライセンスを受けた者しか提供できない。ただし、研究開発に関してはライセンス不要。これらを規制する権限はCACに集約される。そしてAIサービスプロバイダーは訓練データの正確さを高めるために効果的な手段をとらねばならない」とまとめられる。

 この中国の制度には、欧米の政策立案者も学べる可能性があるという。