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切り札は原子力発電? 爆増する電力需要とデータセンター

 データセンターの需要は増え続け、各地で新たな計画が進められている。このところのAI投資は、より多くの電力需要を呼び、クラウドプロバイダーはその調達に苦慮している。同時に脱炭素の取り組みも待ったなしだ。そこで注目を集めているのが原子力発電だ。米国では、「データセンターのエネルギーを原発で賄おうという動きが活発化している。

Microsoftが原子力技術担当者を募集

 Microsoftの求人サイトに、9月25日付で掲載されたひとつの募集が話題となった。「原子力技術担当プリンシパル・プログラム・マネージャー」とのタイトルの求人だ。

 「この上級職は、MicrosoftのクラウドとAIが存在するデータセンターに電力を供給するためのSMR(Small Modular Reactor=小型モジュール炉)と小型原子炉の統合に関する技術的評価を主導する役割を担う」と説明が付いている。「エネルギー戦略を成熟させ、実施する責任を負う」業務で、報酬額は年間13万3600ドル~25万6800ドル(サンフランシスコ湾岸地域とニューヨーク都市圏ではこれより高くなる)だった。

 いち早く報じたDCDは、担当の原子力技術エンジニアリングディレクター、Todd Noe氏がLinkedInに「これは単なるジョブではなく挑戦だ。参加してエネルギーの生産と消費を変革する世界的な動きに参画できるのだ」と投稿していたことを伝えた(投稿は現在、見られない)。

 Microsoftは、以前から原子力をエネルギー源とすることを進めている。今年5月、核融合発電のスタートアップHelionと電力購入契約を結び、サービス提供開始予定の2028年に50メガワットの電力の供給を受けると発表した。この取引は、OpenAIのCEO、Sam Altman氏がHelionの大口出資者であることからも評判になった。

 このとき、Brad Smith社長は「核融合エネルギーは、世界がクリーンなエネルギーに移行するための重要な技術になる、と私たちは楽観している」とのコメントを発表した。

 また、同社の広報担当者は、CNBCにこう明言した。「Microsoftは、気候変動対策に積極的に取り組んでおり、全電力消費、全時間帯を2030年までにゼロカーボンエネルギーで調達するという目標を掲げている」「この電力には、水素、原子力、再生可能エネルギーが含まれる」