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RHEL互換ディストリビューションめぐる波乱 CentOS終了から止まず

RHELのコード公開方針変更

 6月21日、Red HatはRHELのソースコードのパブリックリポジトリ(git.centos.org)での公開を取りやめると発表した。コードにアクセスできるのは、「再配布しないことに同意した」有料顧客または開発者だけとなる。

 本欄でも取り上げてきたように、Red Hatは2020年末にRHEL互換の「CentOS Linux 8」のサポートを2021年で終了すると発表。このRed Hat/CentOSの突然の動きを受け、「Alma Linux」「Rocky Linux」などの新しいプロジェクトが立ち上がり、混乱したユーザーへの助け船となった。

 両者はパブリックリポジトリからRHELソースコードを入手してリビルドし、無料のRHEL互換ディストリビューションを提供している。このため方針変更はプロジェクト継続に大きな打撃を与える。

 Red HatのCore Platforms EngineeringバイスプレジデントのMike McGrath氏は、発表への反応を受け6月29日、ブログでRed Hatの考えを表明した。

 その中で「(情熱的な開発貢献者たちが作り出したコードを)何の付加価値も付けずにそのまま再パッケージして販売するだけでは、オープンソースソフトウェアの生産は持続できない」「私たちはRHELのリビルドに価値を見いだせないし、リビルドを簡単にさせてやる義務もない」と述べ、「バグまで100%互換」をうたうリビルドベンダーを切り捨てる姿勢を見せた。

 矛先を向けられたRocky Linuxの創始者Greg Kurtzer氏は「Red Hatの変更によりRocky Linuxのビルドで使用するオートメーションが変更されるが、われわれはすでに短期的な緩和策を見いだし、長期的な戦略を策定している」と公式ブログで説明した。

 SUSEの発表は、これに続くものだ。プレスリリースでKurtzer氏は、Rocky LinuxのスポンサーであるCIQのCEOの立場でコメント。「オープンなエンタープライズLinux標準の推進において、SUSEと協力できることをうれしく思う」と述べている。