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RHEL互換ディストリビューションめぐる波乱 CentOS終了から止まず

ユーザーが求めているのは精神ではなく利便性

 オープンソースコミュニティでは、Red Hatの方針変更を受けて議論がわき起こった。その代表的なものが、Linuxの中核ライセンスであるGPL(GNU General Public License) v2に違反しているのではないかというものだ。

 GPLは、プログラムの再配布に制限を設けることを禁止している。さらに、Red Hatが決めた使用許諾契約(EULA)がGPLよりも優先されるのかといった議論も起こった。

 この点についてオープンソース界を長くウォッチしてきたSteven J. Vaughan-Nichols氏はZDNetへの寄稿で、さまざまな意見を紹介、整理した上で、こう結論付けている。「私の見解では、Red HatはGPLv2の文面には違反していないが、その精神には違反している」 。多くの人が同じように考えているようだ。

 Red Hatの動きはコミュニティの一部から批判を受けたが、企業側には違う見方がある。

 SiliconANGLEは、Breachsenseの創業者兼CEO、Josh Amishav氏のコメント「営利企業に自分たちの基本OSをサポートしてもらいたいのであれば、営利企業が利益を上げる方法を探らなければならず(顧客はそれを受け入れねばならない)。Red Hatの方針変更に同意できなければ、優れたLinuxの代替もある」を紹介している。

 そして、「(Red Hatは)一部の関係者の怒りは買ったが、われわれがコメントを求めた企業の多くはRed Hatの姿勢に同情的だった」と記している。

 また、Novell、Canonicalなどに勤務し、現在MongoDBで開発者リレーション担当バイスプレジデントを務めるMatt Asay氏は、顧客の関心は「単に動くこと」であって、「オープンソース精神を守る」ことに大きな関心は持っていないと指摘する。

 「RHELの方針変更に固執している人々は的外れなことに集中している。正しいのは、開発者に応える最善の方法を見つけ出すこと」と言う。

 SiliconANGLEは、ベンチャーキャピタルTSVC ManagementのゼネラルパートナーSpence Greene氏のコメントを引用している。一連の動きを一言でまとめたと言えるだろう。

 「(今回の一連の動きは)オープンソース業界が成熟したことの表れだ」