Infostand海外ITトピックス

Metaが「Llama 2」公開、Microsoftは優先パートナーに

 Meta Platformsが基盤LLM(大規模言語モデル)の最新版「Llama 2」を公開した。「オープンソースかつ研究および商用利用は無料」で提供するという。AI開発へのインパクトが期待される内容だが、さらに驚くべきは、Microsoftが「優先パートナー」となって、AzureとWindows上で利用可能にすると発表されたことだ。両社にとってエポックになるかもしれない。

(岡田 陽子=Infostand)

「優先パートナー」となったMicrosoft

 Microsoftの発表は、同社が7月19日から開催したパートナー向けイベント「Microsoft Inspire」で行われた。

 「Llama 2はAzure AIモデルカタログで利用できる。Microsoft Azureを使う開発者はLlama 2を使ってビルドし、コンテンツフィルタリングや安全の機能のためにクラウドネイティブツールを活用できる」としている。

 Azure AIは、AI組織がAIワークロードをビルド、トレーニング、デプロイするのをサポートできるよう、設備、ハードウェア、ソフトウェアを設計したサービスだ。Azure AIモデルカタログに加わることで、運用にあたっての依存関係を考えることなくLlama 2を使えるようになる。

 また、Windows上でも、Microsoft Visual Studio、VS Code、Windows Subsystem for Linux(WSL)、Windowsターミナルなどのツールを使ってAIアプリケーションを構築できるようになる。「開発者が、顧客のニーズに合ったAI体験を構築するのに最適な場所になる」(Microsoft)という。

 一方、AI分野でMicrosoftは、OpenAIに数十億ドル規模の出資を行っている。製品面でもOpenAI製品との連携が進められており、Metaとは競合関係になるというのが大方の見方だった。

 ところが今回、MicrosoftはMetaとの従来のパートナーシップを拡大すると発表。「AIとその利点を民主化するというコミットメントを共有して」「オープンモデルを推進する」と説明している。

 Llama 2はAmazon Web ServicesやHugging Faceなどでも利用できるが、OpenAIとMetaの両方と組むMicrosoftのポジションは抜きんでることになる。

 CNBCは「MetaとMicrosoftの提携は、Microsoftにとって重要な意味を持つ」「(Microsoftが)OpenAIが開発したAI言語モデル以外も支援することを示しているからだ」と述べている。発表同日、Microsoftの株価は4.7%急上昇した。