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中国でもChatGPTの熱狂 米国との差にあせりも

中国AI研究は減速、海外からヘッドハントの動きも

 2010年代半ば、中国のAI企業は米国と肩を並べるレベルにあったが、現在は大きく後れを取っている、とNew York Timesは指摘する。

 中国最大のハイテク企業は全て海外からの資金で運営されている民間企業だった。だがここ数年、政府はこれらの企業や最高レベルの起業家らを摘発し、株式を取得して実質的な支配権を握った。その結果、革新的な技術開発が鈍化してしまったという。

 その状況を示す例として、スタンフォード大学の「A.I. Index 2022 Annual Report」を挙げる。それによると、2021年は米国がAIへの民間投資額とAI企業への新規出資で世界をリードし、それぞれ中国の3倍、2倍と大きく差をつけた。

 New York Timesは、AI分野の米中の差は今後ますます広がるとの専門家や投資家の見解を紹介する。その一つの要因が、先端のAIモデルの訓練アルゴリズムがいずれも米国で開発され非公開になっていることだ。中国の企業が自力で追いつくにはかなりの時間がかかるとみられるという。

 中国側もあせりを感じている模様だ。香港の英字紙South China Morning Postは、中国のテクノロジー企業がAI分野の研究者を海外から採用しようとしていると伝えている。ヘッドハンティング会社からの情報で、中国出身のAI専門家を海外から呼び戻そうとしており、特にオリジナルのOpenAIチームからのメンバーが最も求められているという。

 同紙によると、画像AIがブームとなった2017年、中国のAI企業は大勢の開発者を採用した。しかし、その熱が冷めるにつれて報酬は下がり、多くが辞めていった。いまはAI分野の人材は激減し、新たなチャットAIの需要に応えられない状態なのだという。