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中国でもChatGPTの熱狂 米国との差にあせりも

次々と名乗りを上げる国産チャットAI

 ChatGPTのブームと並行して、テクノロジー企業からは発表ラッシュが起こった。

 Baiduは2月7日、ChatGPTライクなAIチャットボット「Ernie Bot」(文言一心)の社内テストを完了して3月に一般公開すると発表した。「Baidu SearchやBaidu AI Cloudを含むBaiduの全事業にErnie Botを完全に統合する」(共同創業者でCEOのRobin Li氏)との計画を掲げている。

 翌8日には、AlibabaグループがAIツールを内部テスト中であると公表。10日には、ECプラットフォームJD.comのクラウドコンピューティング部門であるJDクラウドが同社のAIプラットフォーム「Yanxi」をベースにした産業向けのChatGPTライクな「ChatJD」を発売すると発表した。

 これらIT大手のほかに、AIに関係ない業種にもChatGPTにからめた発表をする便乗組も続出した。

 研究機関も例外ではない。上海市の復旦大学のグループは、ChatGPTのようなチャットボットを構築できるという大規模言語モデル「MOSS」を発表した。

 「ChatGPTと同じく、自然言語処理の訓練と人間の意図を理解する訓練の2段階で構成されている」といい、中国のAI研究を代表するBAAI(北京智源人工知能研究院)の強力な支援を受けたという。「ChatGPTに対抗する初の中国製プラットフォーム」との位置づけだ。

 このMOSSは、2月20日にWebで公開されたが、Reutersによると、数時間でクラッシュしたという。直接的な原因は、トラフィックの急増だが、研究グループはこれを受けて、中国では異例とも言える謙虚なコメントを発表した。

 「MOSSは非常に未熟なモデルであり、 ChatGPTに達するまでにはなお長い道のりがある。われわれのような学術的研究機関はChatGPTに近い能力を持つモデルを作り出すことができない」

 中国のAI分野での劣勢を反映したものとも見ることができる。その後26日、復旦大学はMOSSを3月中にオープンソース化することを明らかにした。企業の参加を促して開発を加速したい考えのようだ。