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解雇された人たちのその後 SNSを活発に利用

 米テクノロジー企業の人員削減は、なかなか落ち着きそうにない。2023年に入ってからも大規模なレイオフは続いており、既に10万人以上が職を失ったとの報告もある。米国企業の解雇は準備期間などがなく、ある日突然言い渡されて、即日会社を出るのが一般的だ。途方に暮れながらも、多くの人は新しい道に踏み出している。そこで活用されているのがSNSだ。

解雇体験を綴る”レイオフvlog”

 2023年はレイオフのニュースで幕を開けた。Google(Alphabet)が1万2000人、Microsoftが1万人という大量削減を1月に発表したが、2月になってもDocuSignが10%、Twilioが16%相当の削減を発表。さらに、法人向けの半分をカットするYahoo、10%削減するGitHubなど、人員削減の嵐は収まっていない。

 レイオフ情報を集計しているLayoffs.fyiによると、これまでに410社のテクノロジー企業の人員削減が伝えられており、解雇された人の数は11万8000人を超えるという。2022年通年が1046社16万1000人だったことを考えると、2023年は前年を上回る可能性が高そうだ。

 2022年から合計すると総数は28万人近くになる。こうして解雇された人たちは現在何をしているのだろうか――。

 若い世代ではTikTokに向かった人も少なくないようだ。New York Timesによると、レイオフされたことを動画で伝え、それからの日々の過ごし方などを動画にする”Layoff vlog”という新しいジャンルが生まれているという。

 「最近、職を失った若者は、Layoff vlogを投稿することで自己肯定感を得たり、1人ではないというコミュニティ意識を育てている」とNew York Timesは記す。以前の雇用主に対する不満をぶちまける人もいるという。

 SMSマーケティングの会社に解雇された30歳の女性は、TikTokに字幕付きビデオを投稿した。解雇を告げられた後、48時間は涙にくれたものの、よくよく考えると単に失業しただけと思えるようになった、という。

 TikTokは解雇というショックを緩和するのに役立っている、とNew York Timesは分析している。

 こうした解雇者が利用しているソーシャルサービスは、TikTokだけではない。ビジネスSNSのLinkedInは、新たな道に進もうとする人たちの重要な場となっている。