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サーバー増設が追いつかない クラウドの容量が不足

サーバーが間に合わない

 Data Centre Dynamicsは、データセンターの容量問題が現れたもうひとつの例として、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XIV」で昨年末に起こった輻輳(ふくそう)を挙げている。拡張パッケージリリースの際、ユーザーが容量を超えてアクセス不能になったというものだ。

 このときプロデューサーの吉田直樹氏はブログでこう説明している。「2021年春からFFXIVプレーヤーの爆発的増加を受け、半年以上かけて新『World』(ゲーム空間の単位)の追加に奔走したが、必要なハードウェアをなお調達できない状況となっている」。なお、ひとつの「World」を追加するため数十台のサーバーが必要で、数カ月以上かかると説明している。

 Data Centre Dynamicsによると、データセンター業界はこのところ、半導体を筆頭にあらゆる分野で広範な供給不足に見舞われており、世界中のデータセンターでサーバーの導入が遅れているという。

 それでなくとも、ここ数年のデータセンター開設熱はすさまじい。国際法律事務所DLA Piperが6月にまとめた世界のデータセンター・インフラへの投資総額は、2021年で595億ドルとなり、前年の2倍以上へ増加した。新型コロナによる通信とクラウド利用の増加、それを受けたGoogle、Microsoft、Metaなどのハイパースケーラーの成長によるものだ。

 この勢いは2022年に入っても衰えていない。また、データセンターへの投資は、これまで主に米国と欧州が対象だったが、今後はアジア・太平洋地域に移ると予想している。

 クラウドサービスのユーザー側からみれば、クラウドの売り文句“使いたいときにすぐ使える”が生きていないことになる。また、自身の容量制限に直面しているユーザーがパブリッククラウドに頼ろうとして、さらに需要が逼迫するおそれがあるとみる専門家もいる。