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TikTok売却に向け圧力続く 輸出規制の影響に注目

 米国企業に買収されるか、サービス閉鎖か――。TikTokの運命がいまだ見えない。買収元としては、MicrosoftおよびWalmart連合、それにOracleの2陣営が有力候補と目される。他方、Disney出身の米国人CEOは辞任し、中国政府はTikTok売却を阻止するかのような輸出規制の強化に踏み切った。TikTokまわりは混迷を極めている。

大統領令、訴訟、そしてCEO辞任

 この1カ月、TikTokを取り巻く動きはめまぐるしい。Trump大統領は8月3日、いずれかの米国企業と9月15日までに買収合意に至らなければ閉鎖させると発言。6日には、国家安全保障上のリスクを理由に、米国居住者のTikTokとの取り引きを禁ずる大統領令を出した。45日後の発効で、インスタントメッセンジャーのWeChat(微信)についても同様の措置をとる。

 さらに8月14日には、TikTokに米国事業を90日以内に売却するよう命じる新しい大統領令を発令。期限を少し延ばした。あわせて米国ユーザーの全てのデータ削除も求めている。一連の措置からは、大統領選を控え、対中国で強い姿勢を見せたいとの意図も透けて見える。

 これに対し、運営会社のByteDanseは8月24日、大統領令の差し止めを求めて米カリフォルニア中央地区連邦地裁に提訴した。大統領が問題視する中国政府による監視の可能性については、「憶測的な主張は、事実に基づいておらず、本物の国家非常事態ではない」などと主張している。

 そしてその2日後、TikTokのCEO、Kevin Mayer氏が辞意を表明した。Mayer氏はWalt Disneyに長く所属し、直近ではストリーミングサービス事業を成功に導いた。Disneyの次期CEOとも目されていた人物だ。

 TikTokに対する事業売却の圧力は止まらず、買収に向けた動きもヒートアップしている。