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ますます進化するディープフェイク 生成されるコンテンツ

 AIによって本物そっくりに見える画像や動画を生成する「ディープフェイク(Deepfake)」が、すさまじい進化を遂げている。この半年間でディープフェイクを使って加工された動画の数は倍増。大手紙が、合成写真のプロフィールとともに実在しない記者の寄稿を掲載してしまう珍事も起こった。

大手紙がフェイク記者の投稿を掲載

 大手新聞に投稿した英国の大学生は実在しなかった――。7月15日付のReutersはこう報じた。イスラエル最大の英字新聞The Jerusalem PostとThe Times of Israelに記事が掲載された、フリー記者のOliver Taylorという人物がフェイクだったということだ。

 調査のきっかけは、英国の学者Mazen Masri氏の通報だという。Masri氏は自身と人権活動家の妻が「テロリストの共感者」であると、Taylorの記事に書かれていたことを知る。この面識のない相手からの攻撃に驚き、プロフィールの写真を改めて見たとき違和感を覚えたという。

 Reutersが写真を専門家に見せると、合成画像に間違いないとの見解だった。またTaylorのプロフィールにある大学に該当者はおらず、電話でもメールでも連絡がとれなかった。The Times of Israelなどは「記事の持ち込みを受けて掲載した」と説明したが、Taylorに会ったこともなかった。

 結局、掲載した両社はTaylorの身元の確認ができなかったとして記事を削除した。デジタル時代で懸念されている「ディープフェイクと偽情報の合体」の実例になった、とReutersは記している。

 そしてネット上には悪意をもって拡散されるディープフェイク動画が増えている。