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攻めに出るSlack 在宅勤務化の波に乗る戦略は

 Slack Technologiesの動きが活発だ。AWSとの提携や機能の強化、ディレクトリサービスのRimeto買収など、次々に手を打っている。新型コロナの拡大の下で、コミュニケーションツールの利用が一挙に進み、大手、振興が入り乱れてサービス強化を図っている。Slackは「アフターコロナ」「ニューノーマル」の世界で勝者となれるのだろうか――。

機能強化やAWSとの提携

 Slackの創業は2009年と新しくはない。もともとは、写真共有サービス「Flickr」をYahoo!に売却したStewart Butterfield氏らが共同創業したゲームの会社だった。その時のコミュニケーション用に開発されたツールがSlackの元。いわば“副産物”が現在のメインプロダクトとなった。

 こうした経緯もあって、同社はスタートこそ華々しくはなかったが、開発者を中心に徐々にビジネスチャットとして人気を得ることに成功した。さらに大手企業ユーザーも獲得して、2019年にIPOを果たした。そして今春、コミュニケーションツールへの需要で大きなチャンスを迎えている。

 もちろん、ライバルも機能強化とマーケティングを展開し、競争は激化している。生産性スイートで企業に深く食い込んでいるMicrosoftは5月、「Teams」の外部接続を強化するとともに、共同編集基盤「Fluid Framework」で同社の他のアプリケーションとシームレスに連携する将来を描いた。

 こうした動きに対して、Slackは6月4日、AWSとの提携を発表した。Slackは以前からZoomや、Box、OktaなどのSaaSとも連携を進めてきたが、AWSはパートナーとしては超大型だ。

 提携を受け、Slackは自社のビデオ通話アプリ「Slack Calls」の開発をやめてAWSの同種のサービス「Amazon Chime」に移行する。一方のAWSはSlackのビジネスチャットを導入。SlackのチャットボットでAWSのサービス状況の管理などを可能にする。Slackは、これによってAWSユーザーに魅力的な選択肢となる。

 勢いを増すTeamsに対抗して、それぞれの分野で戦っている両社が同盟したとも言える。