Infostand海外ITトピックス

欧州のクラウドイニシアチブ正式発表 「GAIA-X」2021年にスタートへ

Microsoftが参加を検討中?

 米国側のAWSやMicrosoftはどうみているのだろう。GAIA-X発表当時のWall Street Journalによると、AmazonとMicrosoftは「データサービスを国境で制限するもの」として批判。AWSの担当者は「クラウドコンピューティングで顧客が享受できる基本的なメリットの多くが失われる」とコメントしている。

 だが、GAIA-Xはクラウドサービスそのものを提供するのではない。TechRepublicが報じているように、「欧州のデータ法で保護されたクラウドとデータサービスの統一されたエコシステムを作る」ものであり、AWSやMicrosoftのビジネスと直接競合はしない。

 GAIA-XもプロジェクトのWebサイトで、「オープンで柔軟性のあるデータインフラになる計画」とし、ドイツとフランス以外のクラウドプロバイダも「賛同するなら」参加できるとしている。

 Microsoftは対立よりも歩み寄りの姿勢を見せているようだ。EuroActiveは2月、MicrosoftがGAIA-X参画について協議を進めていると報じた。

 それによると、Microsoftの代表者は、欧州のクラウドインフラを悪意ある不正アクセスから保護する「適切な技術的アーキテクチャ」を提供できると述べ、「クラウド時代に、領土の境界に沿って主権を定義するのは間違いだと考える」と意見した。

 MicrosoftとEUはかつて、独占禁止法訴訟でやりあった仲でもある。歩み寄ることの重要性をよく知っているからこその動きかもしれない。

 MicrosoftがGAIA-Xに参加することになれば、AWSなど他の米系クラウド事業者、そして中国のAlibabaはどう動くのだろうか? GAIA-Xは2021年前半にスタートする予定だ。