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「提携、イノベーション、セキュリティ」 2020年クラウド予測

オムニクラウド化とIaaS寡占化への懸念

 2019年はマルチクラウドの動きが活発だったが、予想では「その次」も浮上している。CRNは「2020年、注目すべき、新しい10のクラウドトレンド」と題した記事で、複数のクラウドを使い分けるマルチクラウドから、提携や相互運用を活用した“オムニクラウド”へのシフトをトレンドとして挙げている。

 アプリケーションの移植性の高まりやデータ統合プラットフォームの接続の効率化によって、ベンダー間のクロスプラットフォームの提携が進むことを背景としたもので、「大企業はハイパースケーラーと、いくつかのニッチな事業者を使うようになる」(CRN)という。

 ハイパースケーラーのプラットフォームを基盤にしつつ、ニッチ事業者の差別化されたサービスや特定取引条件を活用。ロックインを回避するというユーザーが増えるというのだ。

 ForresterはIaaSのベンダー争いについても言及している。2020年は、中国Alibabaがクラウド事業で45億ドルを売り上げ、Googleをしのぐと見込まれている。その一方でGoogleは、北米では引き続きナンバー3の位置を確保すると予想。両社の競争の激化を予想する。

 また、こうしたIaaSベンダーの寡占傾向には注意が必要だとも指摘する。各社の2018年第1四半期市場シェアは、AWS(33%)、Microsoft(13%)、IBM(8%)、Google(6%)、Alibaba(4%)の順で、4社計75%に達する。

 「このような集中には、良い面と悪い面がある」(Forrester)といい、各社が単独で深い機能を備えることの利便性の一方で、「利用できる製品とサービスの選択肢が少なくなっていることは好ましくない」とする。

 Forresterは「2020年にはエンタープライズのワークロードの83%がクラウドに移行する。こういう時代、企業のコンピューティング環境はどのようなものになるのだろう?」とも問題提起している。