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実は好調? クラウド事業の数字を公表しないGoogle

資本支出倍増がクラウド事業の好調示す?

 Googleがクラウド事業の数字を公開したのは1年前が最後だ。具体的な数字を公表しないというGoogleの態度は、一部のメディアで事業の状態への懐疑的な見方を呼んだ。だが、クラウド動向のウォッチャーの間ではこうした懐疑論は少ない。

 Tech CrunchのRon Miller氏は「透明でないことは驚きですらある」としながらも、Pichai氏、Porat氏の発言からGoogleの「クラウド事業に大きな変化が起きつつあり」「正しい方向性にある」と判断する。Canalysのクラウドインフラ市場の調査では、Googleへ支出額は22億ドルに到達。シェアこそ9.5%で、AWS(32.3%)とAzure(16.5%)の後塵を拝してはいるが、年成長率はトップ5ベンダー(AWS、Azure、Google、Alibaba、IBM)の中で最高の81.7%増だ。

 Motley Foolは「数字を公表しないのは、競合に後れをとっているためか?」と疑問を投げかけながら、Googleの資本支出に着目する。Porat氏の説明では、Googleの資本支出は2018年に約255億ドルで、ほとんどがデータセンター、サーバーなどに費やされているという。255億ドルという額は前年(126億ドル)のほぼ2倍にあたる。Motley Foolは「大規模な資本支出は、Googleのクラウド事業が現在も堅調に伸びていることを示している」とする。

 またSDxCentralは、Googleがこの1年で全米に新しいデータセンターを拡張・開設。スイスで3カ所のデータセンターを開設し、チリでも1億4000万ドルを投資していることを紹介する。ほかにも、2番目の海底ケーブルが2020年に稼働する予定だ。

 一方、Wall Street Journalは、AlphabetがGoogleの検索以外の事業を確立するため支出を急増させており、これを投資家が懸念していると指摘する。「AIと機械学習は安くはない」というアナリストの意見を紹介しながら、Googleの従業員数が5年前の2倍以上の約9万9000人にまで増えていることも紹介。クラウドでは「数年間の取り組みにもかかわらず、AWSやMicrosoftなどに追いついてない」と述べ、Diane Greene氏が退任したことにも触れている。