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2019年の世界IT支出は3.76兆ドルで堅調 クラウドの影響が鮮明に

 Gartnerは、2019年の世界のIT支出が前年比3.9%増の3兆7670万ドルになるとの予想を発表した。英国のEU離脱問題、景気動向などの要素はあるものの、全体は堅調に成長していくという見通しだ。一方でデータセンターシステム分野の成長は減速から縮小に向かうとみており、ITの基本的、構造的な変化が進むとみている。

全体が堅調を維持する中、データセンターは次第にマイナス成長へ

 レポートは、IT製品やサービスを提供する企業を対象とした調査を集計したもので、「データセンターシステム」「エンタープライズソフトウェア」「デバイス」「ITサービス」「通信サービス」の5分野に分けて投資動向を予想している。

 この5つのセグメント全てで投資は増えると予想するが、伸び率が最も高いのは「エンタープライズソフトウェア」の8.5%。以下、「ITサービス」(4.7%)、「データセンターシステム」(4.2%)、「デバイス」(1.6%)、「通信サービス」(1.3%)と続いている。

 特にメディアの関心を集めたのは、「データセンターシステム」と「エンタープライズソフトウェア」だ。その規模は、2018年で、データセンターシステムが2020億ドル。エンタープライズソフトウェアが3970億ドルと、他のセグメントに比べて小さいが、確実な変化が見てとれる。

 レポートは、データセンターシステムが2019年の4.2%増のあと2020年には3.9%のマイナス成長に転じると予想。他方、エンタープライズソフトウェアは大きく伸び、2019年だけでなく、2020年も成長率が最高を記録すると見込んでいる。いずれも「クラウド」の影響からだ。

 サーバーやストレージなどのハードウェアを中心とするデータセンターシステムで、来年以降の縮小が予想されていることについて、米西海岸のソリューションベンダーIntegrated Archive Systemsのエンジニアリング担当バイスプレジデント、John Woodall氏は「驚きではない」とCRNにコメントしている。

 Woodall氏は、データセンターが2018年に高成長を遂げたのは「多くの顧客がクラウドへの移行で失速したため」と分析。ユーザーのクラウド移行には、かなりのばらつきがあるとの感触を述べている。

 つまり、クラウドのトレンド自体は強力で“抵抗は無意味”だが、「移行は、当初予想されていた速度ではなかった」というのがWoodall氏の意見だ。そして、クラウドネイティブな実装への移行が、データセンターへの支出を減らしてゆくのは不可避だと語っている。