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岐路に立つオープンソース クラウド時代で変革迫られる

クラウドベンダー vs オープンソース企業

 ライセンスの変更は、クラウドベンダーの“ただ乗り”への反発から来たものだが、クラウド事業者のホステッドサービスに異議を唱えたオープンソース企業はMongoDBだけではない。MongoDBの前にも、同じくNoSQLデータベースの「Redis」を開発するRedis Labsが拡張モジュールのライセンス変更を発表している。2018年8月のことだ。

 それによるとRedisそのもののライセンスはBSDを継続するが、拡張モジュールはAGPLから、「Commons Clause」条項を加えたApache License 2.0に変更された。商利用を制限するものであり、Redia Labsもやはり「クラウド事業者は、(もしあったとしても)ほとんどこれらのオープンソースプロジェクトに貢献していない」と述べていた。

 ほかにも同年12月、分散ストリーミングの「Apache Kafka」の開発元であるConfluent社が、Apache Kafkaベースのストリーミングプラットフォーム「Confluent Platform」のオープンソース版のライセンスをApache License 2から独自の「Confluent Community License」に変更すると発表した。Apache License 2と同様に自由にダウンロードして修正できるが、SaaSとしての提供を禁じている。その直前には、AWSがKafkaのマネージドサービスを発表するという動きがあったところだ。

 Confluentの共同創業者でApache Kafkaのオリジナル開発者であるJay Kreps氏は「企業として、よりプロプライエタリソフトウェアを構築してオープンソースへの投資を控えることもできるが、基盤のインフラレイヤーをオープンなコードで構築できるのは正しいことだと考えている。ワークロードがクラウドに移行しつつあり、自由を維持しつつ投資サイクルを可能にする必要がある」とライセンス変更の意図を説明している。

 なお、AWSは1月、「DocumentDB」としてMongoDB互換のマネージドサービスを発表し、MongoDBと対立する構図となっている。MongoDB側は、DocumentDBが最新版のバージョン4ではなく、バージョン3系と互換である点を指摘し、“模倣”と批判している。