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岐路に立つオープンソース クラウド時代で変革迫られる
2019年1月28日 11:26
新しいビジネスモデルの模索
クラウドベンダーとオープンソース企業の関係がぎくしゃくする中、開発者からは持続性のあるオープンソースコミュニティを考えようとの動きも出ている。2018年末、「SFOSC(Sustainable Free and Open Source Communities)」というコミュニティが発足した。オープンソースのIT自動化技術「Chef」を共同開発したAdam Jacob氏が立ち上げたもので、オープンソースのビジネスモデルや哲学について議論する場と位置付けられている。
業界関係者の声からオープンソースの動向をまとめたGeekWireは、「オープンソースは、誰か他の者が全く同じソフトウェアを“アズ・ア・サービス”として提供することを意図したものではなかった」(ベンチャーキャピタルBain CapitalのSalil Deshpande氏)との言葉を紹介する。実際、主要なオープンソースライセンスは、クラウドを使ったサービス以前の時代に作られたものだ。
Apache Software Foundationの創設者の一人Jim Jagielski氏は、オープンソースプロジェクトを始める者への助言として、「採用するオープンソースライセンスにどういう面があるのか、もっと慎重になるべきだ」と言う。そのプロジェクトに関連したビジネスを構築するつもりなら、どのように展開するかがライセンスを決める要素になるはずだというのだ。
また、Adobe Systemsの開発者エコシステム責任者のMatt Asay氏はTechRepublicへの寄稿で、「オープンソースにとっての問題は、AWSではなくマネタイズだ」と述べている。Asay氏は、アナリストBen Thompson氏の「従来のオープンソースのマネタイズモデルは、オンプレミスに依存したものだ」という指摘を挙げながら、「世界にはクラウドベンダーとオープンソースの両方が必要」で、クラウドベンダーはMongoDBらとパートナーとなる方法を見出すべきだと主張する。
成功したオープンソース企業は脚光を浴びるが、多くは大企業に買収され、自身が大企業にまでなった例はあまりない。そして近年は、Googleが「Kubernetes」を送り出したように、大手企業が主要なオープンソースの担い手になっていく動きが目立つ。
オープンソースの世界はクラウドの登場によって重要な岐路を迎えている、とGeekWireは解説している。