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マルチクラウド、プライベートクラウドが続伸? 2019年クラウド業界予想
2018年12月25日 11:31
プライベートクラウドが新しくなる
一方、プライベートクラウドの状況については調査会社によって見解が分かれた。Forresterはプライベートクラウドが急速に成長するとしたが、RightScaleは、大企業の約3分の1がプライベートクラウドの支出をこれまでと同レベルとするか、もしくは減少させるとしている。
Forresterがプライベートクラウドに強気な背景には、プライベートクラウドに対する考え方が変わると予想するからだ。「(プライベートクラウドは)サーバーを迅速にプロビジョニングするものという位置付けから、柔軟でアジャイルで自動化されたソフトウェア定義の開発プラットフォームとして捉えられるようになる」とBartoletti氏は言う。
その実装に当たっては、(1)VMwareのサーバー仮想化「vSphere」をベースに社内で構築、(2)(ハイパー)コンバージドスタックを使ってクラウド環境をカスタム構築、(3)クラウド基盤「OpenStack」でクラウドインフラを構築――の3つのアプローチから、自社に最適なものを選択する必要があるとアドバイスしている。
開発関連のトレンドとしては、引き続き「コンテナ」「サーバーレス」が重要項目として挙げられている。
先述のように、企業にとってレガシーアプリのモダン化は喫緊の課題だ。Forresterは、DockerやKubernetesといったコンテナ技術を基盤とするクラウドネイティブプラットフォームが、レガシーアプリのモダン化に一役買うと予想する。2019年にはKubernetesを簡単に実装し、モニタリング、拡張、管理ができる技術に注目が集まるとの見方だ。
コンテナはマルチクラウドのトレンドにも関係している。マルチクラウドでは相互運用性が重要だが、アプリケーションをコンテナ化することで相互運用性の問題は大きく改善されるからだ。
サーバーレスについては、セキュリティにフォーカスして6つのトレンドを予想したDark Readingも取り上げている。「サーバーレスの採用がクラウドのセキュリティの自動化を促進する」というもので、サーバーレス機能によって、クラウドイベントに応答して起動するセキュリティロジックを提供できるからだという。
その活用の例としては、「DoSやクリプトマイニングのように外部からの要求の結果として負荷が急上昇した場合」「誰かが、正常なデプロイパイプラインとは異なる形でクラウドサービスをデプロイしようとした場合」などに対応できることを挙げている。
これらさまざまな予想は、これまでのクラウドの進展からも妥当と言えるだろう。