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マルチクラウド、プライベートクラウドが続伸? 2019年クラウド業界予想

 クラウド業界は2018年も堅調に成長してきた。スタートアップからグローバル・エンタープライズまで、もはやクラウドを無視して事業運営を進めることはできないと言っていいだろう。では2019年はどう展開してゆくのか――。年末になって出ている調査会社や専門各メディアの予想から、IaaSとマルチクラウドを中心に概観してみたい。

大企業にも必須となったクラウド

 「2018年、クラウドコンピューティングはあらゆる企業にとって必須のテクノロジーになった」とForrester Researchの主席アナリスト、Dave Bartoletti氏は振り返る。実際、クラウドは大企業に浸透している。Forresterの調べによると、北米の大企業のほぼ60%がパブリッククラウドプラットフォームに依存しており、その比率は5年前の5倍に増えているという。

 RightScaleのクラウドレポート「State of the Cloud Report」でも、パブリッククラウドが最優先事項と回答した大企業の割合は2017年の29%から2018年には38%へと増加している。パブリッククラウドの予算を「増加」させる割合は89%に上る。

 その背景の1つが、業務アプリのモダン化だ。「どの企業も、中核となる業務アプリケーションのモダン化をこれ以上延期できない状況」(Bartoletti氏)で、基幹系システム、データベースなどのクラウド化が必須になっているという。これらのシステムは一部SaaSに置き換えられるものの、大半がクラウドにある最新技術を使って強化されていくと同氏はみる。

 大企業となれば、複数の事業があり、コンピューティングやストレージに求めるニーズもさまざまだ。それもあってか、このところマルチクラウドのトレンドが強くなっている。今年はIBMのRed Hat買収、VMware(Dell Technologies傘下)のHeptio買収などの大きな動きがあった。マルチクラウドに限定して10の予想を紹介したDatamationは「IT意思決定者がマルチクラウドの潜在メリットを理解し始めた」と評する。

 では、マルチクラウド化の進展によってクラウドベンダーの争いはどうなるのだろう。