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「企業はAIにどう取り組む、どう変わる」 2019年AI予想

企業内の変化は

 AI人材は全般に不足しており、採用するにもその報酬は極めて高い。だが、労働市場が調整されて人材獲得が可能になるまで待っていたのでは、手遅れになる――。そこで企業は2019年、既存チームのスキル開発に投資するという。

 The Enterprisers Projectは「賢明な企業は、社内で専門家候補を探し、大学などと提携して必要な技術教育を施すだろう。先進技術の訓練を行った企業は、人材の維持でも、採用でも勝るだろう」(リーガル情報サービスのLexisNexis Legal and ProfessionalのCTO、Jeff Reihl氏)との見方を紹介する。

 コンサルティングのPwCもレポート「2019 AI Predictions」で「AIプロでない人材に、AIとともに働くスキルを持たせることが、労働管理の分野で極めて重要になる」と指摘する。それによると、データサイエンティストのような専門家でない従業員の中から、「市民ユーザー」と「市民デベロッパー」が生まれ、AI活用という観点から、専門家を合わせた3つの層に発展してゆくという。

 市民ユーザーとは、AIを利用する訓練を受けた従業員で、さらに、その中から、高度なトレーニングを受けて、専門的なグループ「市民デベロッパー」(従業員の5~10%程度と予想されるという)が現れるという。この市民デベロッパーと専門家が共働してAI活用の体制が整い、「再利用可能なデータセットとモデルを育ててゆくだろう」と予想する。

 ただし、痛みも伴う。多くの従業員は新しい役割に合わせてスキルアップを果たすが、変化について行けない者も出てくるだろうと予想する。「このため、(企業経営者は)離職者が出ることにも備えなければならない」とPwCのレポートは付け加えている。