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「企業はAIにどう取り組む、どう変わる」 2019年AI予想

「AIは雇用を奪うのか」

 一般の最大の関心事は「AIは人間の雇用を奪うのか?」という疑問だ。これについては、少なくとも来年には大きな問題として顕在化することはないとの見方が大勢だ。

 Marr氏は「長期的には不明だが、機械が人間の仕事を奪い、社会の衝突を引き起こすことは少なくとも来年はないだろう」と述べ、「自動化によって2019年には製造業を中心に180万の雇用が失われる一方で、230万の新しい雇用が生まれる」というGarterの予想を引用する。

 「非肉体労働の産業では、技術のサポートによって雇用が拡大するという恩恵がある。業務のために技術を導入し、その訓練を労働力に行うことで新しい雇用が生まれる」とMarr氏は述べている。

 企業内の課題に焦点を当てるThe Enterprisers Projectも「AIは既存のチームを置き換えるのでなく、変える効果をもたらす」と解説。AIやその関連技術は、将来的には広範な雇用に大きなインパクトがあるが、今は、既存の役割とチームに大規模に取って代わることはないだろう、と予想している。

 その裏付けデータの一つとして英RELX Groupの調査を挙げる。それによると、企業のAIの利用目的のトップ3は、「効率と生産性の改善」(51%)、「将来のためのビジネス決定」(41%)、「プロセスの合理化」(39%)の順で、成長のための前向きなツールと考えられていることが分かる。

 「企業はAIを、IT部門や雇用を縮小する怪物ではなく、自らのビジョンを実現するものとしてとらえている」(The Enterprisers Project)という。

 他方でこうした動きは、人材面の構造的な変化をもたらすとも指摘されている。