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コンテナ化の分散問題解決を DockerとMicrosoftの新仕様「CNAB」

Docker、Microsoft、それぞれの事情

 CNABへのメディアの反応は良いようだ。Forresterのバイスプレジデントでアプリケーション開発分野のアナリストであるRandy Heffner氏は「CNABの発表は、待たれていたものだ」「(CNABのアプローチが正しいかどうかは置いておいても)マイクロサービスの複雑性を減じて、普及させるためにはこのような取り組みが必要だ」とComputerworld UKに述べている。

 また、Computerworld UKは、「セキュリティ面でも意味がある」とするAqua SecurityのRani Osnatバイスプレジデントの意見も紹介している。Osnat氏は「クラウドネイティブのエコシステムでは、全く異なるツールや技術が大量にあり、その組み合わせも膨大な数だ。CNABは、そのいくつかをもっと管理しやすいパラメータのセットにするフレームワークのように見える」としている。

 CloudTechは、クラウド市場でのDockerのポジションに目を向ける。そこでは、仮想マシンからクラウド戦略へと拡大しているVMwareがHeptioを買収し、IBMがRed Hatの買収を発表した。業界に「Dockerは船に乗り遅れた」との見方がある中で、「CNABは興味深い開発になる」としている。

 一方、Microsoftにしてみれば、クラウドでの競争にCNABの好影響を期待したいところだろう。

 コンテナ向けストレージソフトのPortworxの調査によると、コンテナを採用する企業は1年で50%近く増えており、IT担当者の83%がコンテナ技術を動かしていると回答した。コンテナ技術に投資する企業は、2017年の57%から2018年は91%へと増加した。

 コンテナを動かすクラウドとして最も人気だったのは、57%の支持を得たMicrosoft Azureで、AWSを8ポイント上回った。Kubernetes運用の成功を支援するプロバイダとしてはAWSが多かったが、Azureは「開発者にフレンドリー」という評価が最も多いクラウドだったという。CNABの登場は、Azureのさらなる拡大へのテコになりそうだ。

 DockerとMicrosoftは、CNABの仕様公開に合わせて参加企業を募っている。