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Greene氏が退任 Googleクラウド部門で突然のトップ交代

社内の不協和音

 Googleは検索をはじめ消費者向けのサービスと製品を得意としてきたが、クラウドでの狙いはエンタープライズ市場だ。しかし、元社員などの証言から内幕を探ったCNBCによると、「法人顧客やユーザーとのコミュニケーションよりも、自動化、スピード、簡単に使える製品を優先させる開発者中心の文化」を変えようとしたGreene氏の取り組みは苦戦していたという。「(エンタープライズで必要となる)営業担当やマーケティングキャンペーンへの高額な支出を認めてもらうことが難しかった」とも伝えている。

 Greene氏の下、年間資本支出は100億ドルから130億ドルに増え、クラウド事業部は他のどの部門よりも急ピッチでスタッフを増やした。それでも、Siebel Systems(2006年にOracleが買収)を創業したTom Siebel氏は「Googleは検索をマネタイズするのに成功したが、エンタープライズには無関心なように見え」、Googleは企業がインフラ問題を解決したい時の「選択肢に入ってない」と述べている。

 また、CNBCによると、Pichai氏とGreene氏の関係は必ずしも良好ではなく、内情を知る人物の証言では「(クラウド事業の)方向性が明確ではなかった」という。

 両氏のギクシャクした関係が顕著になったものとして挙げるのがペンタゴンのAI利用プロジェクト「Project Maven」だ。AIの軍事利用として従業員の反発を巻き起こした同プロジェクトに、Greene氏は当初反対だった。しかし、取引額の規模、政府市場への足がかりになるなどの理由から進めることにしたという。

 買収でも両氏の意見は食い違ったようだ。この1年、エンタープライズ市場はIBMによるRed Hat買収(340億ドル)、MicrosoftによるGitHub買収(75億ドル)、Salesforce.comによるMuleSoft買収(65億ドル)など、大型買収が続いている。

 GitHubには、Greene氏も関心を持っていたがPichai氏が難色を示したこともあり、提示額は60億ドルとMicrosoftの8割にとどまったとの関係者の話を紹介している。Salesforce最大の買収となったMuleSoftについても、勧められたが、既にApigeeを買収していることから見送ったという。