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デジタル変革進めるWalmart 年末商戦に突入へ

 「ホリデーシーズン」の年末商戦を控え、世界最大のスーパーマーケットチェーンWalmartの動向にスポットが当てられている。このところ、デジタル変革の施策を次々に打ち出しており、オンラインからリアルに浸食するAmazonへの“唯一の対抗馬”とも言われる。あらゆる販路と流通経路をシームレスに活用する「オムニチャネル」戦略を展開し、今年7月に発表したMicrosoftとの提携も形になりつつあるようだ。

未来型の店舗で実験

 Walmartは10月末、実験的店舗「Sam's Club Now」をテキサス州ダラスに開設すると発表した。会員制倉庫型店舗Sam's Clubのアプリ活用版で、買い物客はスマートフォンアプリで店内を回って商品を購入し、アプリ上で決済する。店舗にレジはなく、通常店舗よりもスタッフは少ない。

 アプリには、店内のナビゲーションや、AR(拡張現実)による商品説明などの機能が組み込まれるほか、AIを利用したショッピング支援も行い、カメラを使った在庫管理も行う。実験運用で効果を実証できた機能は他店に展開してゆく計画だ。

 テスト段階から本格展開に入った新サービス・新技術も多い。オンラインで注文した商品をWalmart店舗で受け取る無人の受け渡し機「Pickup Tower」は、年内に200店追加して700店体制にする。また、今年導入した即日配達対応店舗は、年内に全体の40%に達し、来年には60%超になるという。

 Sam's Club Nowは、Amazonのレジなしリアル店舗「Amazon Go」に対抗するものだが、Walmartには、全米約4700の店舗網というAmazonにない武器がある。10マイル(約16キロ)圏内に全人口の90%をカバーするといい、これを活用したオムニチャンネル戦略で、リアルからオンラインへ向かって攻め込んでいる。

 アナリストたちは、こうした「un-Amazon-able」(Amazonにできないこと)にフォーカスするのは正しいと評価している。