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「Hadoop」をクラウドネイティブに ビッグデータ基盤モダン化の取り組み

Kubernetesの役割

 こうした方向は、マルチクラウドの需要がビッグデータに及んだものだと見ることができるだろう。IDCによると、「今後1年内に、パブリッククラウド環境からファイアウォール内のプライベートクラウドやオンプレミスに、データとワークロードを戻す計画がある」とした企業は80%超という。「単一のパブリッククラウド事業者では、最初の期待通りにならなかった」というのが主な理由だ。

 同イニシアティブで重要な役割を果たすのが、コンテナ管理のKubernetesだ。ここではKubernetesアプリケーションプラットフォームの「Red Hat OpenShift」を利用。仮想化レイヤとしてランタイム環境をハードウェアから切り離すと同時に、管理者が望むようにアプリケーションを動かしたり、スピンアップ、スピンダウンできるようになるという。

 IBMのCloud Private for DataはKubernetesを基盤としており、同社はRed Hat OpenShift向けの実証に向けて取り組むことも発表している。IBMはHortonworksとも提携関係にある。ここでは、Hortonworks Data PlatformとIBMのデータサイエンスの取り組みを合わせることで、Hadoopエコシステムで、AIやデータアナリティクスを容易に活用できるようにする、としている。

 このイニシアティブは、既に提携や協業していた3社が、クラウドはもちろん、マルチクラウド、エッジ、オンプレミスでビッグデータワークロードを動かすために協業を拡大したものだ。同時に、他のクラウドプラットフォーム企業にも門戸を開くとしている。どれだけの企業が参加するかが、成功を左右する要因となるだろう。

 とはいえ、課題は多い。OvumのBaer氏はほかにも、「今回、Hortonworksが発表した計画は青写真に過ぎない」「(HadoopでのKubernetesサポートなど)まだ流動的な部分がたくさんある」と指摘。また、Hadoopの開発母体であるApache Hadoopプロジェクト自体が、今のところクラウドネイティブに向けた動きにコミットしていない点を挙げながら、「時間がかかるだろう」と述べている。