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「第三の波」AIに20億ドル、DARPAが開発を加速

 DARPA(米国防高等研究計画局)が次世代のAI開発に20億ドルを投資すると発表した。合わせて開始した「AI Next」プログラムの下、今後5年間で、民間と共同で研究を推進する。目指すは、ディープラーニングの次に来る、より賢いAI。「Contextual Adoption」(文脈適応)ベースのAIと呼んでいる。

次はAIを人間のパートナーに

 「われわれは、複数年にわたって集中投資を行い、コンピューターを、専用ツールから(人間の)問題解決のためのパートナーにすることを目指している」。9月上旬に開いたDARPA60周年の記念シンポジウムで、Steven Walker局長は、AI Nextの目標をこう説明した。

 DARPAは過去半世紀にわたって米国のAI開発に深くかかわっており、その発展には、これまで2つの波があったという。第一の波は1960年代に起こった「Handcrafted Knowledge(手作業による知識)」。人間がルールを決め、それに沿った処理を機械に実行させるものだ。学習能力はないものの、定義された問題を解くことが可能で、一定の条件下で適用できる「エキスパートシステム」が実用化された。

 第二の波「Statistical learning(統計学習)」は、統計的方法と確率的方法によってデータセットから特徴パターンを見つけ出し、処理を行う。中でも重要なのが、2010年ごろから始まったニューラルネットワークを基盤とするディープラーニング。今のAIブームの中核技術だ。

 そしてDARPAが次に目指す第三の波は「文脈適応」だ。文脈(コンテクスト)に基づいて推論を行い、「変化する状況に機械が適応できる」システムという。