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“1兆ドル企業”になったAmazon、成長期待とビジネス批判

 Amazonの時価総額が1兆ドルを超えた。Appleに次ぐ2社目の快挙で、AWSや、音声アシスタント「Alexa」などの潜在性に対する投資家の期待が押し上げた結果だ。ECだけでなく、収益性の高い事業が急成長しているためで、「2兆ドルレース」を制するとの期待も膨らむ。一方で、同社に対する批判も強くなっている。

創業24年目で1兆ドル達成

 Amazonの株価は9月4日午前、上場来高値を更新し2050.50ドルを付けた。これによって同社の時価総額は瞬間風速で1兆ドル超えを達成した。時価総額1兆ドルと言えば、Appleが1カ月前、米国企業として史上初で到達したばかりだ。

 創業1976年のAppleに対して、Amazonの創業年は1994年だ。Appleの株式は1980年から市場で取引されているが、Amazonは1997年にIPOして21年目。IPO当時の株価は18ドル程度だったので、21年で約113倍になった計算だ。その成長ぶりは、他社を圧倒している。

 時価総額で言えば、小売でライバルのWalmartは2827億ドル程度。Amazon、Apple両社とともに「FAANG」を構成する3社は、Facebookが約4707億ドル、Netflixが約1518億ドル、Googleが約8148億ドルだ。Netflixを除く「GAFA」でみると、その勢いはいっそう際立つ。4社で米主要500社の時価総額の約13%を占めるという偏りぶりだ。

 1兆ドル企業が2社誕生したところで、メディアは、どこが次の大台“2兆ドル”に最初に到達するのかの予想を始めている。そこでも「Amazon優勢」の見方が強い。

 投資資産管理のD.A. Davidsonの財務アナリスト、Tom Forte氏は「AmazonはAppleより優勢だ。成長の余地が大きい」とCNN Moneyに語っている。中でも、AWSは「Amazonの収益性にとって天の恵み」と絶賛し、これが株価上昇に貢献しているとした。

 Vontobel Quality Growthの最高投資責任者Matt Benkendorf氏も、AppleよりAmazonの方が2兆ドル企業に近いとみている。「Amazonはフル回転している。大きくなれば強さも増すフランチャイズだ」と言う。

 ReutersはSynovus Trustのポートフォリオマネージャー、Daniel Morgan氏の「Amazonのクラウド事業はAppleにはない、成長の加速要因となるものだ」という見解を引用する。