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“1兆ドル企業”になったAmazon、成長期待とビジネス批判

もうかるビジネスには何でも進出

 Amazonへの期待を押し上げている要因には、AWSの好調だけでなく、活発な新規分野の開拓がある。同社は、食料品スーパーチェーンのWhole Foodsの買収でリアル小売業を手に入れ、オンライン調剤薬局のPillpackも買収。次々にビジネス分野を拡大している。さらに最近では、映画館チェーンのLandmark Theatresの買収を検討しているとも報じられている。

 アナリストのForte氏は、他にAmazonが進出する可能性のある分野として、旅行業とガソリンスタンドを挙げる。ガソリンスタンドは小売業のCostcoも進出しており、倉庫などに併設することで展開できるメリットがある。旅行業は、Amazonは2015年に宿泊予約の「Amazon Destinations」をオープンしたものの半年で閉鎖した過去があり、実現すれば再進出となる。

 さらにForte氏は、レンタカー、航空券、クルーズなどを割引販売する可能性や、Airbnbのような民泊分野への展開もありうるとする。CNN Moneyによると、Morgan StanleyもAmazonによるBooking Holdings(Booking.comなどを展開)、Expediaなどの買収の可能性を示唆したレポートを出している。

 これらのビジネスには、音声アシスタントの「Alexa」の拡大も一役買うことになる。さまざまなサービスへのコンシューマーの入り口になるからだ。

 本業のECでも、さらなる成長が見込まれている。ECで先行する米国でも、オンラインが小売全体に占める比率は10%に満たないと言われる。この比率がオンラインに傾けば、Amazonの売上はさらに増えるだろう。一方でWhole Foodsの買収や、レジなしストアAmazon Goの新設で同社はリアルにも拡大している。どちらにしてもAmazonは力を強めているのだ。

 Bloombergは、消費財企業がこぞって“Amazon税”を払っていると指摘する。これは「Amazon内での検索上位になるためAmazonに支払う対価」で、Procter & Gambleや、Colgate-Palmoliveといった大手は、いずれもAmazon税を払っているとする。

 これはGoogleやFacebookのデジタル広告とは違う形だが、Amazonの評価を押し上げる一因になっている。Morgan Stanleyは、Amazon税の規模が1250億ドルに上ると見積もっている。

 だが、その急激な成長・拡大ゆえ、Amazonには厳しい目が向けられている。