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「AIの大衆化」でエンタープライズクラウド攻略 Google Cloud Nextから

 Googleのクラウド関連イベント「Google Cloud Next」が7月下旬に開催された。今年は、オンプレミス環境のコンテナ運用ツール「GKE On-Prem」や、エッジコンピューティング向け専用チップ「Edge TPU」などの製品が発表されたが、戦略面のキーワードは「AIの大衆化」だろう。その象徴が、プログラミング不要で高度な機械学習(ML)モデルを作成できるWebサービス「AutoML」だ。

AutoMLの拡大 「画像認識」「自然言語処理」「翻訳」

 イベント初日、Googleは今年1月に発表した「AutoML」の拡張を発表。画像認識(Vision API)に加え、自然言語処理(Natural Language API)と翻訳(Translation API)の2つを追加した。画像認識はアルファ版からパブリックベータ版へ昇格。自然言語処理と翻訳は、最初からパブリックベータ版での登場だ。

 機械学習では非ブログラマーにも使いやすい環境が徐々に整備されてきているが、それなりのコーディングは必要となる。一方、AutoMLでは、コードを書くことなく機械学習モデルを生成できるという。

 例えば新登場の翻訳APIのWebサイトの説明では、Webインターフェイス、コマンドライン、Pythonスクリプトの3種類の方法でデータセットをGoogleクラウドにアップロード。翻訳を実行して、結果を評価しながら最適化してゆける。また、モデルのトレーニングは「数時間でできる」としている。

 利用料金は、トレーニングが2時間まで無料で、その後は1時間76ドル。翻訳処理は50万文字まで無料で、その後は100万文字あたり80ドル。他にGCPの利用料が必要だ。

 機械学習は、データウェアハウスの「BigQuery」にも導入される。今回発表した「BigQuery ML」は、BigQuery内で大規模な構造化・半構造化データセットの機械学習モデルを生成して推論する機能で、一般的なSQLクエリーで利用できるという。

 イベントではほかに、仮想マシンの安全化「Shielded VMs」や、DDoS攻撃から保護する「Cloud Armor」のセキュリティ製品。生産性ツールの「G Suite」の強化などの発表があった。