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「AIの大衆化」でエンタープライズクラウド攻略 Google Cloud Nextから

エンタープライズで存在感増す

 Google Cloudは、エンタープライズ浸透の努力を続けている。

 事業部を率いるDiane Greene氏は基調講演で「2年前、アナリストからGoogleがエンタープライズになるには10年かかると言われた」と切り出し、「現在われわれはGartnerのマジック・クアドランド(個々のマーケットで競合しているプレーヤー各社を相対的に位置付けて提示するレポート)で、3分野のリーダーになった」と胸を張った。

 Wall Street Journalは、クラウドがGoogleを広告依存から脱却させる可能性があるとみる。

 2004年の株式公開から10年間、売り上げの約96%を占めていた広告の比率は、2015年には90%、2017年には86%へと低下している。広告売上は引き続き伸びてはいるが、「その他」(Androidマーケットやハードウェアなどを含む)事業はもっと伸びている。2018年前半の売り上げは前年比36%増(広告は24%増)の88億ドル。これに最も貢献したのがクラウドだという。

 今回の発表はどれも大企業の状況を踏まえた製品と言え、メディア、アナリストの評価も上々だったようだ。SiliconANGLEは、Google CloudがAWS、Microsoftに大きく後れをとっているという市場の認識について、「Google Cloud Nextに参加していた人は、そんなことは全く信じないだろう」とし、市場シェアの数字自体に疑いを投げる。

 Constellation ResearchのアナリストR “Ray” Wang氏は「クラウドの“Amazon離れ”が起こっている。公表されてはいないが、そうした事業者の多くはGoogleインスタンスを立ち上げており、Microsoft Azureにも移動している」とSiliconANGLEに述べている。実際、Cloud Nextの基調講演でも米小売大手のTargetが登場した。

 Greene氏はイベント後、TechCrunchのインタビューに答え、エンタープライズクラウドで出遅れたことを認めつつ、こう述べている。「(企業クラウドへの浸透は)まだ始まったばかりだ。先行大手のパブリッククラウドに置かれているワークロードを10%程度と推定する人もいる。残りも、いずれ移行していくはずだ」