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「機械学習オン・ザ・ゴー」の時代 Googleの「TensorFlow Lite」公開

オフラインで機械学習が可能に

 モバイルで機械学習を可能にする動きは次第に活発化している。Facebookは昨年、スマートフォンでリアルタイム画像加工ができる「Caffe2Go」を発表した。Appleは今年6月の開発者会議「WWDC 2017」で、「Core ML」を発表している。こちらはiOSアプリに機械学習モデルを統合するもので、秋に公開された最新の「iOS 11」に含まれている。

 さらに、画像・動画の認識とタグ付けのAPIサービス「Clarifai」は7月にモバイル向けのSDKを公開している。デバイス上で機械学習を利用できるものだ。ハードウェアの方向からも同様の動きがある。Huaweiは今秋、AIプロセッサの「Kirin 970」を搭載した「Mate 10」スマートフォンを発表。また新しいiPhoneのSoCにはCore MLにも対応する「A11 Bionic」が採用されている。

 開発者に人気のGoogleの新フレームワークのリリースは、そんな動きに弾みをつけることになりそうだ。「機械学習オン・ザ・ゴー」では、さまざまなメリットが期待されている。

 AIサービスは種類・量とも爆発的に増加中だ。モバイル端末で利用できるAppleの「Siri」、Googleの「Google Assistant」や、そして卓上端末の「Amazon Alexa」などは、AI処理をクラウドで行うためにインターネット接続が前提となる。そこでデータのやり取りが発生し、帯域を消費し、遅延が発生する。

 これに対しモバイルへの機械学習は、デバイス上での処理が可能になるため、オフラインでも機械学習を利用したサービスを提供できる。

 ほかにも、取得したデータを端末側にとどめておくことでプライバシーの問題を緩和できるというメリットがある。

 これまでのAIサービスでは、データが全てクラウドに送られることから、知られたくない情報を渡してしまったり、流出するといった懸念がぬぐえず、さらにはマイクを利用して会話を聞かれているのではないかとの疑いまで浮上していた。データがローカルで処理されるなら、その可能性はぐっと低くなる。