Infostand海外ITトピックス

「機械学習オン・ザ・ゴー」の時代 Googleの「TensorFlow Lite」公開

自動運転や産業IoTにもメリット

 機械学習オン・ザ・ゴーのメリットを享受できるのは消費者だけではない。IoTでは効率化や自動化のメリットを狙ってさまざま機器がネットに接続されるが、同時に「エッジコンピューティング」として端末側で処理することへ注目が集まっている。リアルタイム処理を要求する産業用用途では遅延は命取りになるため、端末側での処理に大きな効果が期待されているからだ。

 テクノロジー・メディア・通信業界のトレンドを予測するDeloitteのレポート「Global Predictions」の2017年版では、技術トレンドの中に「機械学習のモバイル進出」を挙げている。今年初めの予測では、ニューラルネットワークの機械学習機能を備えたスマートフォンは2017年内に3億台に達し、新たに発売されるスマートフォンの5台に1台が機械学習を備えるとしていた。

 レポートはその上で、可能になるサービスとして、屋内のナビゲーション、AR、翻訳、画像の分類、音声認識などを挙げている。

 Deloitteのレポートを伝えたCIO New Zealandは、これらの中でも、スマートフォンを活用した災害復旧、自動運転、サイバーセキュリティを取り上げている。スマートフォン上で翻訳ができれば、「災害救助にやってきた外国の救助隊と被災地の人のコミュニケーションが取りやすくなる」とCIO New Zealandは言う。

 自動運転では安全性が高められるといったメリットがある。またサイバーセキュリティでは、IoTデバイスに機械学習させることで、安全性をより効果的にチェックできるとしている。

 Deloitteは1970年代のメインフレーム時代からのコンピュータモデルの歴史を振り返りながら、「インテリジェンスや機械学習を、エッジで動作させることは、変革をもたらす重要なトレンド」とする。

 同時にレポ-トでは、AI領域での主導権争いのため、大手プレーヤーがそれぞれ自社を中心としたエコシステムの形成を狙って競争が激化するとも指摘している。