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「機械学習オン・ザ・ゴー」の時代 Googleの「TensorFlow Lite」公開

 Googleが機械学習のライブラリ「TensorFlow」のモバイル向け軽量版「TensorFlow Lite」(開発者向けプレビュー版)を公開した。スマートフォンや組み込み端末の上で動作する機械学習ソリューションを開発できるフレームワークで、モバイルやIoTでAI処理を活用できるようにする。「機械学習オン・ザ・ゴー」(machine learning 'on the go')時代の到来を印象づけるものだ。

TensorFlowをモバイル端末で

 TensorFlowはGoogleが2015年に公開した機械学習ライブラリで、ディープラーニング向けのフレームワークとしては、開発者に最も人気がある。TensorFlow Liteは、そのモバイル向け版にあたり、Googleが5月に開催した「Google I/O」で発表された。機械学習ソリューションをスマートフォン、組み込み端末上に実装できる。

 特徴は、高速・低遅延化、学習モデルの軽量化と小型化を進めたことで、TensorFlowで作成した機械学習モデルをモバイル向けに変換し、モバイルアプリケーションにデプロイする。コアとなるオペレーター、FlatBuffersベースのモデルファイルフォーマット、オンデバイスのインタープリタ、コンバーターなどで構成。全てのオペレーターをロードした状態で300キロバイト以下まで軽量化した。

 また、Android Oreo 8.1で導入されたAndroid Neural Networks APIをサポートして、端末側にハードウェアアクセラレーターがある場合は活用し、ない場合はCPUの実行に戻す。マルチプラットフォーム対応で、まずAndroid版とiOS版を提供する。

 学習モデルは、MobileNets(画像処理モデル)、Inception V3(同)、Smart Reply(会話型モデル)などモバイルデバイスに最適化されたものをサポートし、今後、対象を拡充してゆく予定だ。Googleは、モバイル端向けの「TensorFlow Mobile」の後継と位置付けており、ニーズに合わせて機能拡張を続けてゆくと説明している。