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パブリッククラウド市場は成長率4割を維持 各社の現状は

AWSの弱点は小売業界

 Googleはどうだろう? Canalysの調査によると、シェアは6%で上位2社には大きく水をあけられているが、伸びは大きい。

 Reutersは、Googleが小売のKohl'sやPayPalと契約していることに触れながら、GoogleのCEO、Sundar Pichai氏が「Google Cloud Platform」を最優先事業トップ3の1つとして注力していることを挙げる。同社はDiane Greene氏の下、SAP、Cisco、VMwareなどとの提携戦略を進めているほか、開発者向けの機能の拡充も進めている。

 親会社Alphabetの決算にコメントしたWellsFargoのアナリストは「Googleの研究と高性能なハードウェアが、オープンソースの機械学習フレームワーク『TensorFlow』を経由してGoogle Cloudにひも付けされると、Google Cloudは機会をつかんで成長できる」との見解を示している。

 Tech Crunchは、MicrosoftとGoogleの高成長率に触れながら、それでもAWSの独走が続くとみる。追う方は、ベースとなる現状の売り上げがあまりに小さく、AWSには先行者の大きなメリットがあるからだ。「AWSは継続して先行者の利益を享受できるだろう。また、幅広いクラウドサービスポートフォリオや、開発者の間での認知の高さも有利に働く」(Canalysのアナリスト)とのことだ。

 だが中にはAWSを選びたくないという業種もある。小売業界は、直接競合するAmazonを快く思っていないという。GartnerのアナリストEd Anderson氏は、Amazonがグローサリーチェーン大手のWhole Foodsを買収したわずか2カ月後に、MicrosoftがCostcoの契約を獲得したことを挙げながら、小売業と電子商取引(EC)企業はAmazonを使うことに不安を感じている、とReutersに語っている。

 Reutersは、Amazonは将来的にAWSを分社化して顧客の流出を食い止める必要がある、とのMotley Foolのアナリストの言葉も紹介している。

 AWS自身も一人勝ちが続くとは考えていないようだ。AWSのCEO、Andy Jassy氏は今年初めのTech Crunchのインタビューで「1社だけが成功するということはありえない」「大きなエンタープライズ顧客ベースと販売部隊を抱えた古参ベンダーのいくつかが成功者として残るだろう」と述べている。