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ハイブリッド管理でエンタープライズ攻略 GoogleとCiscoの提携

“クロスクラウド管理”プラットフォームは多数

 Ciscoの方はどうだろう。

 Ciscoはルーターをはじめとするネットワーク機器で成長してきたが、クラウドの拡大という時代の変化への対応を迫られている。

 その最初の回答が、2014年に発表した「Intercloud」だった。クラウドサービスのフェデレーションとして、OpenStackをベースとしたクラウド基盤を用意し、パートナーが運営するデータセンターと安全な連携を図るハイブリッド戦略だ。1000億ドルを投じると意気込んでいたものの、「リソースの配分見直しのため」として今年3月に終了した。

 そして今回出した回答は、ハイブリッドクラウドの管理だ。「われわれはマルチクラウドの世界をナビゲートできる数少ない企業の1つだ」とCiscoのバイスプレジデント兼ネットワーキング&セキュリティ事業担当ゼネラルマネージャ、David Goeckeler氏はNew York Timesに語っている。

 提携を分析したNetwork Worldは、新しいCiscoの戦略を「クラウド管理の独立した仲介人」「クラウドのスイス(中立的プロバイダー)」を目指すもの、とする。だがその戦略がうまくいくという保証はないとも付け加える。

 Network Worldは「ユーザーは、全てのベンダーで横断的に動作する表層ソフトウェアよりは、もっと深い統合を求めている」としながら、Forrester Researchのアナリスト、Lauren Nelson氏の指摘「“クロスクラウド”を名乗るソフトウェアプラットフォームは多数ある」を引用する。例えば、アプローチは異なるが、パブリッククラウドでAWSやIBMなどと提携するVMwareも、やはりクロスクラウドを狙っている。

 Nelson氏によると、ユーザーは、自社が利用するIaaSにネイティブな管理ツールを求めており、開発者やシステム管理者はパブリッククラウドに深く統合されたツールを使いたいと思っているという。「全てのクラウドへのAPIアクセスという最小公分母(万人向けのツール)を試みる管理ソフトウェアを使おうとは思わない」のだ。

 Ciscoは、Dell EMC、Hewlett Packard Enterpriseなどハードウェアを中心とする他のベンダーと同様、ハードウェア主体からサービス主体へと事業構造の転換を図っている。クラウドの潮流の中で、持てる強みを生かして生き残りをかけた協業、提携は今後も出てきそうだ。

 CiscoはGoogleとの提携を「独占的なものではない」としている。