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「Windows 10 Mobile」が終了へ モバイル戦略で苦闘するMicrosoft

終了の是非は評価が分かれる

 Microsoftのモバイル戦略は迷走している。それがはっきりうかがわれるのは、Nokiaの端末事業の買収と同時にCEOが交代し、方向性が一変したことからだ。Nokia買収は前CEOのSteve Ballmer氏の判断だが、幹部だった現CEOのSatya Nadella氏は、これに反対していたという。

 Nadella氏の就任後、Microsoftは76億ドルの減損処理を行い、フィーチャーフォン事業をHMD Globalに売却した。いまやモバイルにおけるWindowsのシェアは0.1%まで下がっている。 Nadella氏は「クラウドファースト、モバイルファースト」を掲げたが、モバイルはアプリのことであり、端末ではなかったということだろうか――。

 Venture Beatは、この見方を支持し、Gates氏がWindows Phoneを使ってないことも「全然、劇的ではない」と言い切る。

 Venture Beatは「Microsoftは、音声制御のやり取りに未来があると考えている」と読む。そこではハイエンドの端末もOSも重要ではなく、その上で動く生産性サービスこそが重要だと考えている、というのだ。実際、Gates氏はCNNに対し、自身が使っている端末は「たくさんのMicrosoftのソフトウェアが動く」と語っている。

 Venture Beatによると、Microsoftは音声アシスタントの「Cortana」をエントリーポイントと考えており、アプリを重要視していない。「アプリモデルはなくなる。それに変わって登場するのが生産性モデルであり、Microsoftはそれを理解している」と分析する。

 Ars Technicaは逆に、スマートフォン向けWindowsから撤退してエンタープライズにフォーカスすることは間違いだと主張する。9月末に音楽サービス事業からも撤退したことにも触れながら、「エンタープライズにフォーカスはできるだろうが、その場合、Microsoftは(減収に歯止めがかからない)IBMのようになる」と予言する。

 Ars Technicaはコンシューマー市場での成功はエンタープライズへの移行パスになると言い、例としてGoogleの「Chrome OS」、Chromeブラウザの成功、iOSのエンタープライズ分野への進出を挙げる。

 そして、Microsoft自身も過去にWindowsのシェアからエンタープライズへと拡大していった歴史があるとした上で、「エンタープライズは“島”ではない」「コンシューマー分野への野心を捨てて、エンタープライズに後退するのは間違いだ」と述べている。