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iPhoneがAR普及の起爆剤に Appleの深謀遠慮

 Appleは、iPhone/iPad用のAR(拡張現実)プラットフォームを、9月19日開始のiOSアップデートともに展開する。ARはヒューマンインターフェイスを一変させる技術として、長らく(そして待ちくたびれるほど)期待を集めてきたが、これが大きな転機になるかもしれない。世界の数億人のユーザーが、新世代のARアプリにアクセスできるようになるのだ。

イベントでの控えめなARデモ

 先週のiPhone10周年スペシャルイベントの中で、Appleは、バスケットコートに出現して闘うロボットとモンスターや、大空に浮かび上がる星座図など新しいARアプリのデモを行った。ハイライトは、Directive Gamesのマルチプレーヤーゲーム「The Machines」だ。

 スタッフが、iPhoneを通して何もないテーブルの上を見ると、ジオラマのような戦場が出現し、プレーヤーが、その中で戦車や兵士を操りながら敵と戦う。同社のCEO、Atli Mar Sveinsson氏は「あなたはゲームをコントロールするだけでなく、ゲームの中にいるのだ」と胸を張った。

 このデモに、ブロガーでAR/VRエバンジェリストのRobert Scoble氏は早速、失望を表明。「AR(のデモ)は、全く控えめなものだった。全然楽しくない、見るに堪えないデモ。どこがマルチプレーヤーだ?」とFacebookに投稿した。そして「新しいOSがもたらす世界を説明しようという努力が全然なかった」と酷評している。期待の大きさの裏返しと言えよう。

 しかし、The Vergeは、Scoble氏の不満を紹介しながら、「今、その控えめなやり方こそ、スマートなのかもしれない」と言う。「誇大妄想と幻滅の残酷なサイクル」にあったVRの後継として、ARを低い敷居からスタートさせるやり方は賢明なのだと解説している。